「夫の目から見た第一子出産レポート」(2006/09/24)

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2006/09/24日曜日

私は、前日の疲れからか、テレビを見ながら寝てしまったらしく、この日の朝は居間のソファーで目覚めた(9時位だったかな)。
モモさんは痛みがあったので相当早起きをしていた模様。

モモさんがベーコンエッグと納豆を用意してくれたので、二人で朝食。
私は「報道2001」「デジモン」「笑っていいとも増刊号」「うち来る」などを見ながら、パソコンに向かったりしていた。

そんな中、出産はそろそろかも知れぬと、モモさんは母親とかお姉さんたちとかと電話やメールで連絡を取り合っていたようだ、陣痛間隔が短くなっている事に気付き始めたモモさんは、何時に陣痛があったのかをメモを取り始めていた。

陣痛が10〜15分間隔くらいで持続時間は30〜40秒となったところで、一旦病院に電話。病院からは「1回の陣痛の時間が1分になってソレが1時間に6回になってから病院に来るように」と言われたようだ(11時くらいだったかな)。この時点でモモさんの場合間隔は1時間に6回程度にはなっていたが、陣痛の持続時間が1分には満たない、と言う事で様子見。

モモさんより「今日のお昼は外で食べようか、二人で、というのは最後かもしれないし」との提案。私は「構わんよ」と回答。「じゃ、何処に行く?」と聞かれたので「マクドナルド」と適当に回答。そしたらモモさんは真に受けてパソコンに向かってマクドナルドのクーポン券をダウンロードしてプリントしていた。まっ、いいけどね。

「二人で、というのは最後かもしれないし」というような、スペシャル感を少しアップされた表現に対して、少々へそ曲がりの私は「マクドナルド」と言ったまでで、決してケチ臭い価値観で言った訳ではござらぬ。

昼は外食と決まってから、モモさんは洗濯とかしていたが、私はテレビを見ていた。まあ、洗濯ぐらいは私がやっても構わないのだが、「妊娠は病気ではない」という言葉と、元々の予定日が9月18日だったのに1週間も予定が遅れているのでこれ以上は遅らせたくは無いという意思がモモさんにもあったようで、意識的に働いたり動いたりしていたようだった。予定日の前からなるべく歩く事は意識していたようだし、予定日を過ぎてからはスクワットも少々やっていたらしい(コレは私も知らなかったけど)。

わたし的には、外食するからと言って混んでいるお店は嫌いなので正午は避けたい、加えて見ていたTVの「うち来る」のゲストが浅草キッドでなかなか面白かったのでコレを見終わってから出かけようと漠然と思っていた。

番組が終わりモモさんに「出かけるぞ」と声をかけたら「念の為に、今一度病院に電話をしておく」との事で、モモさんが病院に電話。陣痛間隔や陣痛の持続時間を説明したら、「とりあえず1回診察しますから病院に来てください」と言われたそうで、外食は後回しにして病院へ向かう事にした。病院は我が家から車で15分くらいの所にある。

我が家では自動車の運転に関しては第一ドライバーがモモさんで、私は第二ドライバーである。まあ、第二ドライバーと言っても、単なる同乗者ではあるが助手でもある。何故ゆえ助手かというと「助手席」に座るからであって、助手だから助手席に座っている訳ではない。まあ、そんな事はどうでも良いとして、第二ドライバーは第一ドライバーの有事に際して運転するのが役目。こういう時ほどの有事は無かろうと、私が運転する事になる。

この病院への移動中、私はモモさんに「ナビに病院は登録してあるのか?」と聞いたら、「してない」という。私は病院の位置は漠然とは知っているが、自分の運転でいった事が無い^_^;
今後、暫くは自分の運転で行かなくてはならないので、ナビへの登録は必須である。

そんなこんなで?病院に到着。時間は13:40くらい。
日曜日なので一般の診療は無いので一般外来診療の待合室の1階には誰もおらず、2階の看護婦さんの詰め所に直接向かう。「先ほど電話した、、、、、」と、声をかけ、モモさんはそのまま診察へ。
この病院の3階は、看護婦さんの詰め所、新生児室、分娩室、陣痛部屋、食堂、授乳室がある。とりあえず私は食堂で待つことにしようとしたら、看護婦さんが「もしかしたら授乳で使っているかもしれないからお待ち下さい」と廊下で待たされ「空いていますから、食堂でお待ち下さい」と言われ、私は食堂に。

食堂にはテレビがあったので、テレビでも見ようかと思ったら、ビデオテープが何本かあるのを見つけ、タイトルを見たら、授乳の仕方とか沐浴の仕方とかの内容だったので、コイツを参考のために見てやろうかと思っていたら、看護婦さんがやってきて「このまま入院しますから荷物を持ってきて下さい」と言われ「えっ!このまま入院ですか?」と私は少々驚いたリアクション。

「まだ、早いから一旦帰ってください」くらい言われる事も想定していて、そう言われたら少々遅い昼飯を外食で済ませようと思っていたので、驚いた。必要な荷物は既に車に積んでいたので、駐車場まで荷物を取りに行って、食堂で待機。荷物の中に「出産&新生児 大百科」というタイトルの本があったので、そいつを読んで時間を潰す事にする。
この本は、図解やら写真やらでとても分かり易く出産に関する事が書かれていて、なかなか興味深い。乾いた砂に水をこぼすが如くに一気に私に出産に関する知識が吸収されていく。入院してから出産までは十時間とか十数時間とか掛かるとか話には聞いていたので、この本の完読は時間の問題だろう思っていた。

この病院の面会時間は下記の通り:

休・祝日 13:00〜19:00
 平日    14:00〜20:30
赤ちゃんの面会
14:00〜15:00
17:00〜18:00
20:00〜20:20平日のみ

なので、私が食堂で読書している時に、赤ちゃんの面会時間がスタート。面会といっても面会時間の間、新生児室のブラインドが上がるというもの。またこの日は日曜日なので既に産まれて新生児室にいる赤ちゃんの親族とかが結構な人数来ていた。辺りがザワつき気味ではあったが、私は読書に没頭、途中1、2分程新生児室を見学した。赤ちゃんは8人くらいだったと思うが、どの赤ちゃんも可愛い。よく見ると何人かの赤ちゃんは顔を真っ赤にして全力で泣いている。きっとこの顔を真っ赤にして泣く事から「赤ちゃん」と呼ばれるようになったのではなかろうかと、勝手に思う。感心したのはその泣き声が殆ど聞こえないと言う事。赤ちゃんの面会はガラス越しに赤ちゃんを見るのだが、二重ガラスになっているようだし、それ以上の防音の仕組みがされているのだろう。

と、私は食堂に戻って読書(お勉強)を再開。それから間もなく、モモさんと看護婦さんが現れ、陣痛部屋に移動。この段階でモモさんは浣腸と脱糞は済ませていたらしい。
陣痛部屋は分娩室の直ぐ隣(当たり前か?)の二人部屋、窓側のベッドに通された。
ここで診察内容を聞いたら、子宮口は4cmとの事。フムフム、病院についてからの短期集中(付け焼刃とも言うかも)の猛勉強で「子宮口は4cm」が何を意味するのかは分かった。

この段階で、陣痛は3〜4分になっていたようだ。
私はモモさんに「アンタの両親とかお姉さんに連絡しておくか?」と聞くと、お母さんとお姉さん2人に電話して、と依頼を受ける(モモさん自身は3姉妹の末っ子)。
病院内は携帯電話禁止(かつ禁煙)なので駐車場の車の中からタバコを吸いながら、まずはモモさんのお母さんの携帯に電話するも、何度かのコールの後に留守電に切換わったので、病院への入り時間と子宮口の大きさと、このまま入院する旨を言って電話を切る。次に一番上のお姉さんに電話するも、またしても、何度かのコールの後に留守番電話に切換わったので、今度はメッセージを残さず電話を切った。うーん、モモさんはお母さんやお姉さん達には進捗連絡していて、親族は緊急待機体制を取っている様な口ぶりだったが、全然違うじゃん!!と、思いながら、2番目のお姉さんに電話したら、ようやく電話に出る人に当たった。一通りの状況を伝え、お母さんと一番上のお姉さんとは連絡が付かなかった事と、特に病院に来なくていいと言っていた事を伝えた。お母さんと一番上のお姉さんには、この2番目のお姉さんが連絡を取ってくれる事になった。この2番目のお姉さんとの電話が終わって、電話を切った直後に私の携帯が鳴った、でも直ぐに切れた。「ワン切りかよ」と呟きながら着信履歴を見たら、一番上のお姉さんからだった。一番上のお姉さんに電話してみると、今度は直ぐに電話に出た。「あーやっぱり、着信履歴を見ても、誰の電話か分からなかったから、ワン切りした」との事。確かに私の携帯から一番上のお姉さんに電話したのは今回が初めてだったが、事前にモモさんから私の携帯番号は親族には連絡してある、と、聞いてはいたが、どうやら携帯に登録はされなかったようです。やっぱり緊急待機体制ではないよなぁ。。。
まっ、それでも電話が通じたからヨシとしましょう。一通りの状況を説明したら、「じゃあ、夕方の子供たちの食事の準備を済ませたら病院に行くわ」との事。私からは「休日の面会時間は19:00までだし、モモさんも特に今日は来なくてもいいと言ってます」とは説明したが、「いいの、いいの、行くから」との事で電話を切った。この時点で時間は14:50くらい。

病室に戻ると、モモさんのお腹には、陣痛と胎児の状態をモニタする?機械が取り付けられていた。

また、私はこれから出産まではかなり時間が掛かるから一旦ウチに帰ったり出来るかな、くらいのつもりでいたら、助産婦さんから「旦那さんは帰らない方が良いです」と言われ、「えっ、そんなに直ぐに産まれるんですか?」と問いました。確か「そうですね」くらいの返答があったかと記憶している。

私は、この文章の中で看護婦さんとか助産婦とか書いてはいるものの、この段階で、看護婦さんと助産婦さんの見分けが付いていない。この日ココまでの病院サイドの登場人物は全て女性で、モモさんには区別が付いているのかどうかは知らないが、モモさんはどの人も助産婦さんと呼んでいるような気もするが、私は見た目の雰囲気で看護婦さんと表現するも、モモさんが助産婦さんと言った人は「助産婦さん」なんだな、と理解するようにした。

モモさんがお腹に装着しているモニタは、電波で親機に送信され、親機の方で胎児の音が発せられたり、何やらグラフが記録されている。親機は陣痛室から出て直ぐの廊下に置かれていたので、音は良く聞こえた。この手の機械物には自然と興味が沸くので、親機の方を覗き込みに行ったら、助産婦さんから「奥さんに付いていて下さい!」と、説教口調で注意をされる^_^;。

ベッドの上で陣痛に苦しんでいるモモさんの所に助産婦さんと行き、仰向けに寝ていたモモさんに、助産婦さんが「楽な姿勢を取っていいですよ」と声をかけ、仰向けよりも横を向いた方が楽らしく、助産婦さんに助けられながら、姿勢を変えた。
また、助産婦さんから私に「腰のこの辺を優しくさすってあげて下さい」との指示があり、言われるがまま腰をさすり始めた。

その後、モモさんより「さすらなくとも、手を当てているだけで、暖かくて気持ちがいい」との事だったので、手を当てるだけに切り換えた。私の手からはハンドパワーが出ているのかもしれない。妊娠や出産に関しては男の出番は少なさそうだが、多少なりとも役に立っているのであれば、こちらとしても有り難い。 

親機のボリュームを結構大きく設定してくれていたので、胎児の音がBGMとなっていた。最初はゴボゴボした音だなぁ。なんて思っていたが、耳が慣れてくるに従って、 馬車を引く馬の足音に聞こえてきた。


ただ腰に手を当てているだけでは能が無いので、陣痛間隔と陣痛時間の計測をしたりした。モモさんは既に痛さ先行で、時間的な感覚が無くなっているようでしたので、「2分間隔が空いた」とか「今のは40秒くらいの長さだった」とか結果報告はしてあげた。病院に来るまでは陣痛が「1分継続したら云々」というのがキーワードのように言われていたが、私が計測した範疇では1分以上陣痛が継続したのは数回しかなかったと思う。最長でも1分30秒くらい。

腰に手を当て、時間計測だけでは、私の向上心は納まらず、ベッドのテーブルに「出産&新生児 大百科」を広げ、モモさんが今どの辺の工程にあるのかをお勉強。大きく分けて3段階あるようだが、陣痛間隔からして、第二段階と第三段階の間くらいじゃなかろうか?と思われ、その事をモモさんに言うと「良かった、後半に差し掛かっているんだね、この痛みがまだ序盤だとしたらやっれられないから、、、」のような事を言っていた。

また、モモさん自身の感じている痛みの表現としては、「針で刺されるような痛み」との事。さらに、こう続けた「今度アンタのチンチンに針を刺してやろうか」。。。どんなプレーじゃ!!^_^;

そうこうしているうちに、紅茶とお菓子を持って給仕の方が現れて「おやつです」と、テーブルに置いて行った。そう、この病院はおやつが出るのだ。
モモさんは痛さに苦しんでいるので、当然おやつはパスのようで、私に「アナタが食べても良いよ」と言ってきたので、有り難く頂戴する事に、でもモモさんは「でも、お菓子がどんなのか見せて見せて」と言ってきた。「喰えなくとも見たいんかい!」とは思ったが、若干意地悪しながらも見せてやった。外側を砂糖でコーティングしたバームクーヘン二切れでした。
して、紅茶をすすり、バームクーヘンを喰っている私を見て、今度は「美味しい?」と聞いてきた。私からの回答は「マズイ!」。果たして模範回答はなんだったのか、喰えない人間を前にして「美味い」と言ったほうが癇に障るんじゃなかろうかと「マズイ!」と回答した訳だが、逆の立場になればどちらもムカつくかもしれない。私とて、腰に手を当てるという重要な?任務の最中、残すのは、もったいないから喰っただけの事で美味いとかマズイとかの状況では無かったんですけどね。
 
その後、助産婦さんが様子を見に来てくれた時に、モモさんが助産婦さんに、「このお腹の機械はずっと付けてる訳じゃなくて、じきに外すんですよねぇ」と、問うたら、助産婦さんは「はい、外しますよ、でも、もう少し付けておきましょうね」との事。モモさん的には横になっているよりも立って動いた方が痛みを散らせるように感じていたらしく、その事を助産婦さんに言うと、陣痛の段階によっては本当にそうなんだそうな。 
助産婦さんから具体的に、「こうやって窓とかのフチに手を掛けて前かがみになって、足踏みしたりして、、」と、ジェスチャー付きで説明してくれた姿を見て、私は思わず「長州小力みたいな感じ!」と言ったら、助産婦さんは「そうそう、そんな感じ、」と同調してくれた。私ってば例え上手(~o~)

それから、10〜15分後にお腹の機械は取り外され、モモさんはベッドから降りて立とうとしたが、痛さでベッドから降りるというのも辛そうだったが、何とか降りる。ベッドの横の台に手を付き前かがみになって、足踏みしながら痛さに耐えていた。その後、立った状態を20分くらいは続けていたと思う。
「診察します」と声を掛けられ、モモさんはベッドに寝直して、私は一旦部屋の外へ。5分くらいの診察で結果は「子宮口が7〜8センチ」との事。
フムフム順調に開いていっているようである。

が、痛みはどんどん増していっているようで、この辺からモモさんは呻きながら大声を出しながら、映画エクソシストのリンダブレアーのような状態になっていったのである(ブリッジ状態で階段を駆け下りたり、首を180度以上回転させたりはしなかったけど^_^;)
 
陣痛の本当のところは、男ごときに分かるものではないでしょうが、客観的に見ていて絶え難い痛さのようである。痛さに対して耐える表現として、「歯を食いしばる」のようなのがありますが、このような呼吸を止めるような耐え方をしてはいけないところに、難しさを感じた。痛くても常に呼吸をしっかりして胎児に酸素を送り続けなくてはならないのだそうな。
 

そんな中でも、モモさんに「途中経過を親族に伝えておくか?」と聞いたら、そうしてくれとの事。
モモさんの携帯にはモモさん親族に一括でメールを送れるようにグループ登録しているとの事なのでモモさんの携帯電話を持ち出して、駐車場の車の中でタバコを吸いながら、「16時40分の診断で子宮口が7〜8センチとの事で、順調です。」という文面のメールをモモさん一族に送信。送信記録によればこの時点で17:11。

メールを打ち終わった後に、病室に向かおうと思ったが、また暫くタバコが吸えないと思い、もう一本吸っていこうと、タバコに日を付けたら、目の前をモモさんのご両親と一番上のお姉さんとその娘が横切ろうとしていた。あれま、もう来ちゃった(^_^.)

親族を病室に案内し、まずは私が先に陣痛部屋に入って行ったら、助産婦さんもモモさんの様子を見に来ているところで、私はモモさんに、ご両親と一番上のお姉さんとその娘(姪)が来た事を伝えると、それを聞いていた助産婦さんが「あらあら、応援団無しで夫婦だけの方が落ち着けるんだけどねぇ」と呟いていた。そんなものなのか、と思えたが、私には良く分からん。

モモさんのリアクションは、誰が来ようがどうでも良いような位、痛いらしく、「ヴヴヴヴヴ〜」とか「いったーい」とか大声を上げながら、シーツをかきむしっている状態。
姪っ子(小学校1年生)は、いつものモモさんと明らかに違う、エクソシスト状態を見て、固まっていた^_^;

お母さんとお姉さんはと言えば、モモさんに一言二言軽く声を掛けた後、この日行われた、お姉さんの子供たちの運動会の様子をお母さんに報告していたりしていた。そんな話、「ここでしても良いけど、ここでしなくても、、、」と、薄っすら思った。まあ、私が痛い訳ではないから、私がどう思おうがどうでも良いのだが。

私はこの時、モモさんの背中に手を当て、もう片方の手の人差し指と中指をモモさんに握られていた。痛みのピークが来るとかなりの強さで指を握られました。かなり痛いのでしょう。
その後、お姉さんとかが「今が一番妊娠を後悔する段階なんだよねぇ、どうだ、後悔してるだろ?」とか「痛いか痛いか」とか言っていたら、モモさんは「いったーい!!なにしにきたのよー!!いったーい」などと暴言を吐き出していた。

また、このお姉さんはモモさんの暴言にひるむ事無く、その後も、「痛い痛い」を連呼するモモさん、そっちのけで力強くモモさんの背中をさすったりしていたなぁ。乱暴なお姉さんのようだが後から考えてみると、モモさんは「痛い、痛い、痛い、イターイ、イターイ、イターイ、さすったらイターイ」と叫んでいたので、最後に「さすったら痛い」と具体的な事を言ったので、ソレまで痛いしか言わないモモさんの痛みを和らげようと背中をさすっていたのかもしれない。

陣痛の間隔も短く、持続時間も長くなってきてはいたが、タマに間隔が空く事があって、その時にちょっと可哀想な位に固まっていた姪っ子をベッドの横に呼んで、モモさんの寝巻きの合わせを広げて、お腹を生で見せてあげて「この中に赤ちゃんが入ってるんだよ、すごいでしょ」と、言ってあげたが、基本的には固まり状態に変化は無かった^_^;

モモさんの親族が到着した時点で新生児の面会時間に突入していたので、既に出産を終えられたお母さんやその親族の方々が新生児室の前に群がったりしていて、何故かは分からないがモモさんのいる陣痛部屋のドアは常に開放されており、モモさんの痛みに苦しむ断末魔の叫びは、新生児室に群がるギャラリーに丸聞こえ状態だった。もっとも、モモさんにはそれを恥ずかしがる余裕は無い。

ここで一度診察が入り、「子宮口は10センチ」との事。10センチは全開大と呼ばれる「全開バリバリ状態」なのだが、もっと赤ちゃんが降りてこないと分娩室には入れないそうで、もう一息モモさんにも赤ちゃんにも頑張ってもらわねばならない。

この頃になると、ご両親や一番上のお姉さんなどは、飽きたのか?モモさんが痛みで気が立っている事を察してなのか?は知らないが、新生児見学をしていたり、またちょろっと陣痛部屋に戻ってきたりしていた。

ここで、ふと、モモさんのお父さんの存在感が薄く、病院に来てからモモさんと言葉を交わしていなかったように思えたので、「モモさんモモさん、お父さんも来てるんだよ」と言って、一番上のお姉さんが「何か声を掛けてあげなよ」とお父さんに促し、その直後、お父さんはモモさんに向かって「おぅ、頑張ってるか?イェーイ」とピースサインを出していた^_^;。私は少々固まったが、こういうシチュエーションの中で不器用な人なのだろうと見積もってはいたが、イェーイのピースサインとは。。。

まあ、出産という事象に対して、私も含めた男は無力であり、また、身の置き所を見つけきれない存在なのです。そういう事をも含めて手探りなんです、だからイェーイのピースサインはアリと認定します(^_^.)

17:40頃になって、助産婦さんが「診察します」と言ってきたので、我々は席を外す、陣痛部屋から出たついでに、私も軽く新生児を見ようかとしたら「ちょっとちょっと」とモモさんのお母さんに肩を叩かれ、振り返ったら、助産婦さんに両脇を支えられて分娩室に入っていくモモさんの姿が、、、、あれれ、そんなに展開が早いとは、ちょっと唖然として、その姿を見送り、分娩室のスライドドアが閉まるのを見ていました。普通なら直前に「頑張れよ」位の言葉を掛けるのでしょうが、タイミングを外されてしまった。

その後、私は何をしたら良いのだろうかと考え、産まれて直ぐの姿をビデオカメラに収めようと、車にビデオカメラを取りに行った。カメラを取って分娩室のある階に戻ると、病院のスタッフの方々が陣痛部屋から病室へ引っ越す為の荷物の移動を始めていた。急遽私も手伝い2階から3階へのお引越し。

その後分娩室前で待機するも、陣痛部屋であれほど大騒ぎしていたモモさんなのに、分娩室のスライドドアに耳を当てても何も聞こえない。見事な防音処理だなと、感心する。(後に、おっかない助産婦さんに大声を出している事を説教されてから、静か目に苦しんでいたとモモさんから聴いた)

その後、丁度1時間(とくにやる事も無いので結構長く感じた)くらい分娩室前に張り付いていたら私の時計で18:40に分娩室のスライドドアの向こうから、赤ちゃんの鳴き声が聞こえた。食堂で待機していたモモさんの親族に、「多分、今、産まれましたよ」と伝え皆で分娩室前に移動、「気のせいじゃないの」とか言われながらも、親族全員で分娩室のスライドドアに耳を寄せ、泣き声を確認して「本当だ泣いている」となりました。

その後、10分くらい経ってからだったろうか?分娩室のスライドドアが開き、助産婦さんが片手でヒョイと抱っこされた状態で赤ちゃんとご対面。私はカメラを回しながらも、「ちっちゃいね」とか「泣かないね」とか言ったら、助産婦さんは「泣きますよ」と答えた(そりゃ、泣くでしょうよ)。でも、この初対面の段階では全然泣いてなかった。身体が冷えるといけないからと助産婦さんは言って、そのまま新生児室の方に入っていった。多分洋服とかを着させたりするのでしょう。

子供が新生児室に入った直ぐ後に、モモさんの二番目のお姉さんとその子供2人(姪)が到着。この二番目のお姉さんは車で来たのだが、近くまでは着ていたが、その後病院に辿り着くまでに道に迷いまくって、かなりのタイムロスをしていたようだ。確かにこの病院は電車で来たら駅から近いし、概ね1本道だが、車で来るとややこしいかもしれない。JR鶴見駅の西口側は一方通行が多いし。 

二番目のお姉さんは、開口一番「どお、産まれた?」と言ったので、もう、産まれた事を説明したら残念がっていた。どうも、自分の子供達にモモさんの出産の時に同じ場所で時間を共有させるという経験をさせたかったようだった。

この辺で、一度病院のスタッフの方から、「今日の面会時間は19:00までですから」と言われ、この時点で、既に18:50くらい。分かってはいたが、赤ちゃんとは分娩室から新生児室への移動の間に30秒位しか見れなかったし、モモさんは未だ分娩室から出てきていない状態で、私はともかく、わざわざ来てくれた親族には物足りない感じで帰って頂かなくてはならなさそうなのが、ちょっと申し訳ない感じがした。

そして、18:55くらいに、おもむろに新生児室のブラインドが上がり始めた、ら、中には赤ちゃん達がいない。よく見ると左手前のベッドに一人だけ赤ちゃんが。新生児室の直ぐ隣の看護婦さん(助産婦さん)の詰め所を覗き込んで、「すいません、ここにいる赤ちゃんはウチのでしょうか?」と聞くと「そうですよ」と答えてくれた。更に、この助産婦さん(分娩室から新生児室に運んでくれた人)が、病院のスタッフの方々に「面会時間は過ぎちゃうけど、こちらのご家族はまだお母さんが分娩室から出てきてないから、お母さんが出てきて顔を見るくらいまでは、いて頂いて、その後引き取ってもらいましょう」と指示を出してくれていた。私もモモさんの親族も「有難うございます」と頭を下げた。

あと、この時に助産婦さんが「はい、お父さん」と言って、赤ちゃんの体重と身長を書いたメモを手渡ししてくれた。

赤ちゃんは小さい。小さいのですが人間の身体から出てくるには、デカイよなぁ、とも思え、さぞモモさんは大変だった事でしょう。

新生児室にウチの赤ちゃんだけだったのは、丁度授乳時間で新生児室の裏にある授乳室に移動して授乳中だったからのようだ。
ウチの赤ちゃんは、さっきまでお腹の中にいたとは思えないというか、生まれたばっかりの子供ってこうなの?と思えるくらい目を開け瞬きをし、見えてはいないのだろうけどキョロキョロと目を動かし、手もよく動かしていました。でも泣いてはおらず、「今までいたところと環境が違うなぁ、ココは何処だ?」みたいな感じ、とでもいうのでしょうか、何か意思があってキョロキョロしているようにも見えました。

モモさんのお姉さん達の話では、産まれたばかりの赤ん坊はもっと見た目が人間離れした宇宙人みたいな感じらしいのだが、お姉さん達からの目で見ても、産まれたばかりにしては、しっかりしている、との評価でした。

そうこうしているウチに新生児室のブラインドは閉まり始めたが、特別な配慮をして下さった、助産婦さんにお礼を言った。

その後、5分くらいして、分娩室のスライドドアが開き、ストレッチャーに乗ったモモさんが出てきた。ストレッチャーを押した看護婦さんは「このまま病室に行きますが、皆さんは行けませんので、ココだけという事で」と言い。まあ、面会時間はとっくに過ぎているのだから仕方がないと思う。モモさんは「とてもじゃないけど歩けない」とか「消耗した」とか「腕がしびれている」というような言葉を発していた。モモさんは目が悪いが、分娩室にはコンタクトの着用もメガネの着用も駄目だったので、メガネが無いと不安だろうと思い、メガネを持って待っていたので、最初に私からかけた言葉は「メガネかけるか?」でしたが、モモさんは「うーん、いいや、ストレッチャーの上に置いておいて」との事。その後、モモさんから「赤ちゃん見た?」とか「ビデオカメラは置いていって」という業務連絡に対しまして、急いでカメラの電源を切りケースにしまってストレッチャーに乗せたりしたんですが、ありがちな?「ご苦労さん」という言葉をかける暇が無かった。

ストレッチャーが移動しながら、エレベータに入り扉が閉まるまで、私からは「コレが病室のロッカーの鍵だから」とか、お姉さん達と「明日も来るから」とかなんとか業務連絡を交わしながら、とても慌しいなかでエレベータの扉は閉まっていきましたとさ。

うーん、この日は、モモさんがエクソシスト状態になったころからは、とてもバタついていた印象がある。何となく私まで疲れた気分である。

この後、病院を出てから、モモさんのお母さんが「駅前で車も止められて、皆で食事できるところは無いか?」と私に質問してきたが、私からは「スイマセン、知りません」と、全く役立たずな回答をする。あんなにゴチャゴチャした鶴見駅の西口に車を止められるところがあるわけもなく、人が多いところが嫌いな私は最寄の駅とはいっても余り近寄った事も無く、何処にどんな店があるかなんて全く知らないし、、、^_^;

私はこのまま帰らしてもらう事にした。
モモさんのお父さんから「じゃ、祝杯はまたの機会と言う事で」という言葉を頂き、私は自宅への帰路に付いた。

ウチについてから、は、まさに「ふぅーっ」ってな感じでしたが、知り合いの何人かに、無事出産したことを報告するメールを打って、冷凍食品で晩飯を食って、まったりしていたら、20:36に携帯にモモさんからメールが入った。

「今日は大切な一日になりました、あなたのおかげです」というような感じの内容だった(本文はもっと長かったが割愛)。

つい1、2時間前までエクソシストのリンダブレア状態になるくらい、痛く苦しい思いをしていたのはモモさん自身なのに、「あなたのおかげです」と言える事が何だか「凄いなぁ」と思えた。
今日の私は邪魔もしなかったけど、役立たずだったのは確か
だったのにね


ウチの子のプロフィール
性別:女の子
誕生日時:2006/9/24 18:39
体重3266グラム
身長49.4センチ
頭囲33.0センチ
胸囲33.0センチ


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